■マチアセビッチとフィボナッチ数生成関数(その22)
初項1,第2項1から始まるフィボナッチ数列{Fn}は
1,1,2,3,5,8,13,21,34,・・・
フィボナッチ数は5次式
f(x,y)=2xy^4+x^2y^3-2x^3y^2-y^5-x^4y+2y=0
の正整数値であることが示されています。
x=F(n),y=F(n+1).
f(1,1)=0,f(1,2)=0,f(2,3)=3,f(3,5)=5,・・・
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x=F(n),y=F(n+2)
nが奇数のとき、f(x,y)=x^2-3xy+y^2+1
f(1,2)=0,f(2,5)=0,f(5,13)=0,f(13,34)=0,・・・
nが偶数のとき、f(x,y)=x^2-3xy+y^2-1
f(1,3)=0,f(3,8)=0,f(8,21)=0,・・・
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x=F(n),y=F(n+4)
nが奇数のとき、f(x,y)=x^2-7xy+y^2+9
f(1,5)=0,f(5,34)=0,・・・
nが偶数のとき、f(x,y)=x^2-7xy+y^2-9
f(1,8)=0,・・・
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フィボナッチ数は5次式
f(x,y)=2xy^4+x^2y^3-2x^3y^2-y^5-x^4y+2y=0
の正整数値であることが示されていますが、この方法はxを与えたとき、yの5次方程式を解かなければならない
x=F(n),y=F(n+2)
nが奇数のとき、f(x,y)=x^2-3xy+y^2+1では2次方程式を解かなければならない。
それに対して、
z=f(x,y)=ax^2+bxy+cy^2では, x,yを与えたときに、四則演算だけで済むというのが利点といえるでしょう。
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[Q]素数だけを与える1変数多項式は?
[A]存在しないことが証明されている.
それでは,多変数の高次多項式ではどうでしょうか.1971年,旧ソ連のマチアセビッチは,正の値がすべて素数の集合となる多項式が存在するという驚くべき事実を,ヒルベルトの第10問題の副産物として発見しています.
その式は37次で24個の変数をもつ多項式と21次で21個の変数をもつ多項式でした.この多項式は負の値もとり,また,素数は多項式の値として繰り返し出現します.(現在のこのような式の最低次数は5,最底変数は10になっています.)
[Q]無限に多くの素数を与える多変数多項式は?
[A]例えば26変数の25次多項式が知られている.なお,素数のみを生成する10変数多項式の次数は非常に大きくなる.
すべての素数が作れて,この公式から素数が漏れることはありません.ただし,ほとんどが負の値となってしまうのでマチアセビッチの素数生成式は事実上役に立ちませんでした.この式からは素数について新しいことはほとんどわからなかったのです.なお,整数係数をもつ多項式が,常に素数値をとることは不可能であることは証明されています.一方,すべての素数をもれなくつくり,しかも素数以外はつくらない公式は知られていません.素数を完全に定義する式が存在することは証明されていませんし,存在しないともわかっていません.
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