■ルベーグの舗石定理とミンコフスキーの舗石定理(その1)
多細胞からなる生体には密な細胞の集積からなる構造物が見られる。そのとき、3個の細胞が合して1稜を作る。一般にn次元空間では1頂点に集まる稜線の数はn+1より少なくすることはできない(ルベーグの舗石定理)。
このとき、細胞は多面体で近似できることになる。多面体の3稜を1点に集め、また、この多面体を重ねて空間を分割するとき、4稜が1頂点に集まることは細胞が力学的に安定した平衡を保つための必要条件である(空間の平行分割equilibrium space division)。ESDは必ずしも細胞・生物学的な構成原理ではなく、広く無機の世界にもみられる現象である。
しかしながら分割多面体の形は不規則であり、1個ごとに違ったものになるから統計的にしか扱えないことになる。
オイラーの多面体定理により、f-e+v=2
1個の頂点には3稜が集まり、1本の稜は2頂点を結ぶから3v=2e
これよりv=2(f-2)となって、分割多面体の頂点数は必ず偶数であり、fが与えられればvとeは一義的に決まることがわかる。
Matzkeらの報告では面の数は14、面を作る辺の数は5が多いとされる。
Coxeterによれば、3次元空間を隙間なく分割するにあたり、多面体の面を作る辺数の平均値をx、多面体の頂点に集まる稜の数の平均値をy、多面体を積み上げて空間分割したとき1稜に集まる面の数の平均値をzとすれば、
sin(π/x)=cos(π/y)/sin(π/z)
という関係があり、y=3,z=3であるからx=5.104・・・,
個々の多面体についてはxf=2e=yv
f=4y/(2x+2y-xy)=13.398・・・
e=2xy/(2x+2y-xy)=34.191・・・
v=4x/(2x+2y-xy)=22.796・・・
を得るという。fは13-14が最も多いこととなろう。
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