■フィボナッチ・ブラーマグプタの恒等式からはわからない整数の特徴づけ(その1)

x^2±Ny^2はどのような数(素数)を表示することができるだろうか

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 フィボナッチの等式としてよく知られている恒等式

(a^2+b^2)(c^2+d^2)=(ac−bd)^2+(ad+bc)^2

(a^2+b^2)(c^2+d^2)=(ac+bd)^2+(ad−bc)^2

は簡単に確認できます.

 また,この積は2通りの異なる方法で,2つの平方数の和として表すことができることを示しています(a=bまたはc=dのときは,積はたった1通りの方法で2つの平方数の和になります).素数2を含め、4n+1型の素数はすべて2個の平方数の和になり、4n+3型素数はそのように表せないことはよく知られています。

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ブラーマグプタの恒等式とは

  (x1^2−Ny1^2)(x2^2−Ny2^2)=(x1x2+Ny1y2)^2−N(x1y2+x2y1)^2

ですが,N=−1とおくとフィボナッチの等式が得られます.

(x^2−Ny^2)(z^2−Nt^2)=(xz+Nyt)^2−N(xt+yz)

 (x^2−Ny^2)(z^2−Nt^2)=(xz−Nyt)^2−N(xt−yz)

 (x^2+Ny^2)(z^2+Nt^2)=(xz+Nyt)^2+N(xt−yz)

 (x^2+Ny^2)(z^2+Nt^2)=(xz−Nyt)^2+N(xt+yz)

3n+1型素数はすべて、x^2+3y^2

8n+1型素数、8n+3型素数はすべてx^2+2y^2の形になります。

のみならず

3n+1型数の素因数はすべて、x^2+3y^2

8n+1型数、8n+3型数素因数はすべてx^2+2y^2の形になります。

(x^2+3y^2)(u^2+3v^2)=(xu+3yv)^2+3(xv-yu)^2

(x^2+3y^2)(u^2+3v^2)=(xu-3yv)^2+3(xv+yu)^2

(x^2+2y^2)(u^2+2v^2)=(xu+2yv)^2+2(xv-yu)^2

(x^2+2y^2)(u^2+2v^2)=(xu-2yv)^2+2(xv+yu)^2

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(x^2+5y^2)(u^2+5v^2)=(xu+5yv)^2+5(xv-yu)^2

(x^2+5y^2)(u^2+5v^2)=(xu-5yv)^2+5(xv+yu)^2

はx^2+5y^2型の2数の積がまたこの形になることを示しています。ところが、この形の数の素因数は必ずしもこの形にならないのです。

たとえば、

21=1^2+5・2^2=3・7

161=6^2+5・5^2=7・23

3,7,23はこの形の数ではないのです。

→mod20で3または7余る素数の積にはx^2+5y^2型の数が現れる

x^2+5y^2型素数は1または9(mod20)である。

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なぜなのだろう? そこには何が生じているのだろうか?

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