■逆数和とその積分表示(その3)

πは次の積分を用いて周期として表現される。

π=∫∫(x^2+y^2≦1)dxdy=2∫(-1,1)(1-x^2)^1/2dx=∫(-1,1)1/(1-x^2)^1/2dx=∫(-∞,∞)dx(1+x^2)

 ζ(3)は,c:0<x<y<z<1として,次の積分表示を持つ。

  ζ(3)=∫(c)dxdydz/(1−x)yz

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 1979年,程なく,ボイカーズは周期積分の原理を用いた証明を見つけました.ある数が周期であるとは「代数的係数多項式で与えられる領域c上で,代数係数の代数的関数の積分として表される」ことをいいます.→コラム「数にまつわる話」参照

 たとえば,積分

  I=∫(0,1)∫(0,1)1/(1−xy)dxdy/√xy

において,1/(1−xy)を幾何級数として展開し,項別積分すると

  I=Σ1/(n+1/2)^2

 このとき,

  1+1/3^2+1/5^2+1/7^2+・・・

の値が必要になりますが,この値はζ(2)=Σ1/n^2から次のようにして求まります.

  1+1/2^2+1/3^2+1/4^2+・・・

 =(1+1/2^2+1/4^2+・・・)(1+1/3^2+1/5^2+・・・)

 =1/(1−1/4)・(1+1/3^2+1/5^2+・・・)

分母を奇数のベキ乗だけにすると一般式は

  {1-2^(ーs)}ζ(s)

となるのです.したがって,

  ∫(0,1)∫(0,1)1/(1−xy)dxdy/√xy=(4−1)ζ(2)

これはζ(2)のもう一つの周期としての表現を与える。

いま、変数変換x=ξ^2(1+η^2)/(1+ξ^2),y=η^2)(1+ξ^2)/(1+η^2)とすると、ヤコビアンは

|d(x,y)/d(ξ,η)|=4ξη(1-ξ^2η^2)/(1+ξ^2)(1+η^2)=4(1-xy)(xy)^1/2/(1+ξ^2)(1+η^2)

  I=∫(0,1)∫(0,1)1/(1−xy)dxdy/√xy=4∫(0<ξ,η<1)dξ/(1+ξ^2)・dη(1+η^2)

=2∫(0,∞)dξ/(1+ξ^2)∫(0,∞)dη(1+η^2)=π^2/2

を得る

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