■正多角形の作図と原始根(その166)

 任意の多角形の辺の中点を順に結んで内接多角形を作る操作を繰り返します.すると多角形はだんだん小さくなりますが,元の多角形と新しく導かれた多角形はすべて同じ重心をもっています.そして,偶数角形の場合は対辺が平行で長さの等しい多角形に近づいていきます.

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【1】逆問題(カスナーの定理)

 それでは,中点多角形(z0',z1',・・・,zk-1')が前もって指定されているとき,外接多角形(z0,z1,・・・,zk-1)を構成することは可能でしょうか?

 始点がわかればあとは芋づる式に構成可能ですが,それは奇偶性に大きく依存します.

(1)奇数角形の場合

   z0=z0'−z1'+z2'−・・・+zk-1'

とすると始点は一意に決まる.

(2)偶数角形の場合

  z0'−z1'+z2'−・・・+zk-1'=0

すなわち

  z1'+z3'+・・・+zk-2'=z2'+z4'+・・・+zk-1'

が成り立つときに外接多角形が存在する.そのとき始点は任意に選んでよく,どの点から始めようとも閉多角形を得ることができる(無限に多くの解がある).

 これはカスナーの定理と呼ばれていて,中点多角形をカスナー多角形,元の多角形を前カスナー多角形といいます.各辺が1:1でなく他の比に内分されたとしても,同じような現象が起こります.

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