■双曲平面のモデル(その9)

正単体はKn+1完全グラフの形に投影することができる。その場合、中心部は拡大され、周辺部は圧縮される。

この関係はエッシャーの描いた「天国と地獄」を想起させる。そこでは白い天使と黒い悪魔が円板を埋め尽くしている。

その意味で、ポアンカレの双曲円板の正単体版ともいえる。

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ユークリッド平面内の双曲平面のモデルとしては

[1]ベルトラミ・クラインモデル(BK)

[2]ポアンカレモデル(P)

[3]上半面モデル(H)

があるが、[1][2]はそれ自身の境界をもたない一つの円である。

前者では直線はユークリッド的線分であるが、角は違った方法で測らなければならない。

後者では角はユークリッド的であるが、直線は円周に垂直な円弧である。

ポアンカレの双曲円板の正単体版よりも,クラインの双曲円板の正単体版といったほうがいいかもしれない。

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ポアンカレ円板がエッシャーの芸術作品に利用されたのに対して、,クラインの双曲円板が芸術に利用された例を知りません。 しいていえば、ピザ分割問題でしょうか?

【Q】1つの円をn本の弦で分割する.その際,分割によってできる領域が最も多くなるようにする.最大分割領域数Snはいくつになるか?

(答)この問題は実は円という条件を取り去っても同じ答えになります.すなわち,平面をn本の線で分割する.その際,分割によってできる領域が最も多くなるようにする.最大分割領域数Snはいくつになるか?

 分割される領域数が最大になるためには,新しい線(弦)を引くとき,それ以前のすべての線(弦)と新しい交点で交わるようにします.既存の交点を通ると分割される領域が最大数にならないからです.

  S0=1,S1=2,S2=4,S3=7

はすぐに求められます.このことからn本目の線(弦)を引くと新しい領域がn個増えることがわかります.これを式で表すと

  Sn=Sn-1+n

  Sn=Sn-1+n

  Sn-1=Sn-2+n−1

  ・・・・・・・・・・

  S1=S0+1

  S0=1

を辺々加えると,一般式

  Sn=1+(1+2+3+・・・+n)=1+n(n+1)/2

    =(n^2+n+2)/2

が得られます.

  S0=1,S1=2,S2=4,S3=7,

  S4=11,S5=16,S6=22,・・・

と続くというわけです.

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