■正多角形の作図と原始根(その116)

 フェルマーの小定理とよばれるものは,

  a^p=a  (modp)

  a^p-1=1  (modp)

すなわち,pを素数とするとaをどんな数にとっても余りが1になるというものである.

 aをランダムに選んでいって,それでも余りが1になればpは素数の候補となるし,1以外の余りがひとつでも出ればpは合成数であることになる.

 とくに

  a^p=a  (modp)

  a^p-1=1  (modp)

の後者はz^n=1という円分方程式(円周等分方程式)との関係も取りざたされるところである.そこで,・・・

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 nを奇素数とする,nで割り切れない任意の数aに対し,

  a,a^2,a^3,・・・,a^n-1  (modn)

を作る.このとき,常に

  a^n-1=1  (modn)

が成立するが,aのベキの次数がn−1に到達する以前に,小さな次数kに対して 

  a^k=1  (modn)

が成立することがある.

 逆に,n−1で初めて

  a^n-1=1  (modn)

が起こることもあり,そのような数aを法nに関する原始根とよぶ.すなわち,原始根の周期はn−1といえるのである.

 例として,n=19,a=2の場合を調べてみると

  2^1=2,2^2=4,2^3=8,2^4=16,2^5=13,2^6=7

  2^7=14,2^8=9,2^9=18,2^10=17,2^11=15,

  2^12=11,2^13=3,2^14=6,2^15=12,2^16=5,

  2^17=10,2^18=1

→2は法19に関する原始根である.

 n=19,a=3の場合を調べてみると

  3^1=3,3^2=9,3^3=8,3^4=5,3^5=15,3^6=7

  3^7=2,3^8=6,3^9=18,3^10=16,3^11=10,

  3^12=11,3^13=14,3^14=4,3^15=12,3^16=17

  3^17=13,3^18=1

→3は法19に関する原始根である.

 n=19,a=4の場合を調べてみると

  4^1=4,4^2=16,4^3=7,4^4=9,4^5=17,4^6=11

  4^7=6,4^8=5,4^9=1

→4は法19に関する原始根ではない.

 n=19,a=5の場合を調べてみると

  5^1=5,5^2=6,5^3=11,5^4=17,5^5=9,5^6=7

  5^7=16,5^8=4,5^9=1

→5は法19に関する原始根ではない.

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 どのような奇素数nに対しても法nに関する原始根は存在する(ガウス).さらに,ガウスは円分方程式:z^19=1の1の19乗根

  z=cos(2π/19)+isin(2π/19)

の解法がn=19に対してn−1=3・3・2と素因数分解されることから,次数19の円分方程式が2つの3次方程式とひとつの2次方程式の解法に帰着することを示している.詳細は

  [参]高瀬正仁「アーベル・不可能の証明へ」現代数学社

を参照されたい.

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z^18+z^17+・・・+z+1=0の18根の置換は

法19の原始根を2として、項の順番にしたがって、3群に分けると

  2^1=2,2^2=4,2^3=8,2^4=16,2^5=13,2^6=7

  2^7=14,2^8=9,2^9=18,2^10=17,2^11=15,

  2^12=11,2^13=3,2^14=6,2^15=12,2^16=5,

  2^17=10,2^18=1

α2=z^2+z^16+z^14+z^17+z^3+z^5

α4=z^4+z^13+z^9+z^15+z^6+z^10

α1=z^8+z^7+z^18+z^11+z^12+z^1

この3つの値はx^3+x^2-6x-7=0の根となる。

α1+α2+α4=-1

α1α2+α2α4+α4α1=-6

α1α2α4=7

α2=4-α1^2

α4=-5-α1+α1^2

さらに

α1=(z+z^18)+(z^8+z^11)+(z^7+z^12)=β1+β8+β7

に分割され、β1、β8、β7はx^3-α1x^2+(α1+α4)x-2-α2=0の根となる。

さらに

zとz^18はx^2-β1x+1=0を満たす。

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z^10+z^9+・・・+z+1=0の10根の置換はn−1=5・2と素因数分解されることから,次数11の円分方程式が1つの5次方程式とひとつの2次方程式の解法に帰着することを示している.

そのような周期はz+z^10,z^2+z^9,z^3+z^8,z^4+z^7,z^5+z^6である。

一つの周期に含まれる2元は互いの他の逆数であるから、z^5で割ってから,y=-(x+1/x)を代入すると

y^5-y^4-4y^3+3y^2+3y-1=0

が得られる。もしこの方程式の解αが根号によって見いだされるならば、1の11乗根を求めるには、x^2+αx+1=0を解きさえすればよく、それは根号によってあらわされるのであるが、5次方程式には一般的な解法が存在しない。

それに対して、n-1が2のベキであるときには補助方程式はすべて2次であるから、円分方程式の解法はかなり簡単である。

n-1が2のベキとなる素数で知られているものは、3,5,17,257,65537だけである。

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y^5-y^4-4y^3+3y^2+3y-1=0

は根号を使って解ける方程式なのであるが、その解法がわからない

この方程式の解は2cos(2πk/11),k=1-5になるはずである。とりあえずy^4の項を消去してみたい。

y=z+1/5とおくと

z^5+5z^4・(1/5)+10z^3・(1/5)^2+10z^2・(1/5)^3+5z・(1/5)^4+(1/5)^5

-z^4    -4z^3・(1/5)   -6z^2・(1/5)^2 -4z・(1/5)^3-(1/5)^4

    -4z^3      -12z^2・(1/5)  -12z・(1/5)^2-4(1/5)^3

          +3z^2      +6z・(1/5) +3・(1/5)^2

                +3z     +3・(1/5)

                      -1

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3125z^5+3125z^4+1250z^3 +250z^2  +25z   +1

 -3125z^4-2500z^3  -750z^2  -100z   -5

     -12500z^3 -7500z^2  -1500z -100

         +9375z^2  +3750z +375

             +9375z +1875

                  -3125

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3125z^5-13750z^3 +1375z^2  +11500z   -979

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