■超幾何関数とモノドロミー群(その1)
【1】シュワルツの代数関数解
代数関数解とは2変数x,yの多項式f(x,y)=0で定義される関数のことをいいます.
シュワルツは,微分方程式が導く保型関数から,
(1)円弧三角形を複素上半平面Hに写像する際の写像関数は,微分方程式の2つの解の比y1/y2で表されること.
(2)すべての解が代数関数←→写像関数が代数関数(α,β,γは有理数)
(3)円弧三角形の頂角λπ,μπ,νπは特性指数の差である.
(4)円弧三角形は,λ+μ+ν>1になること.
を利用して,解がすべて代数関数となる条件を示しました.
それは15通りの場合からなっているのですが,リーマン指標(λ,μ,ν)を用いて,整数部分を除いて小数点以下の端数部分を記すと,以下のように表されます.ただし,λ,μ,νの順序を変えることによる重複は避けています.
正2面体群:(1/2,1/2,ν)
正4面体群:(1/2,1/3,1/3)
正4面体群:(2/3,1/3,1/3) (整数部分の和=偶数)
正8面体群:(1/2,1/3,1/4)
正8面体群:(2/3,1/4,1/4) (整数部分の和=偶数)
正20面体群:(1/2,1/3,1/5)
正20面体群:(2/5,1/3,1/3) (整数部分の和=偶数)
正20面体群:(2/3,1/5,1/5) (整数部分の和=偶数)
正20面体群:(1/2,2/5,1/5)
正20面体群:(3/5,1/3,1/5) (整数部分の和=偶数)
正20面体群:(2/5,2/5,2/5) (整数部分の和=偶数)
正20面体群:(2/3,1/3,1/5) (整数部分の和=偶数)
正20面体群:(4/5,1/5,1/5) (整数部分の和=偶数)
正20面体群:(1/2,2/5,1/3)
正20面体群:(3/5,2/5,1/3) (整数部分の和=偶数)
このように,シュワルツの表では分母が2,3,4,5の有理数になります.1/2が含まれるものについては,整数部分の和=偶数という条件は不要となります.そしてλ+μ+ν≦1であるか,λ+μ+ν>1であってもシュワルツの表を満たさない場合は解が超越関数となるのです.
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