■メビウス関数とディリクレ級数(その43)
これまでは数論的な性質のディリクレ級数を扱ってきた。ここでは必ずしも数論的でないものを扱ってみたい。
ディリクレ級数は
Σ(1,∞)an・n^it
の形の式であるが、ディリクレ和Σ(N,2N)an・n^itの値分布について考える
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max|an|<<N^(-1/2)(Σ|an|^2)^1/2・・・平坦な係数の場合、
S(s)=Σ(N,2N)an・n^s
とおくと、平均値の定理より
∫(T0,T0+T)|S(it)|^2dt≦(T+4πN/√3)Σ(1,N)Σ|an|^2
∫(0,T)|S(it)|^2kdt≦N^ε (T+N^k)(Σ(1,N)Σ|an|^2)^k
が成り立つ。
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ゼータ関数の零点
ρ=β+iγ,β>σ,|γ|<T,1/2<σ<1,T>0
を満たすものの数をN(σ,T)と書くと、
N(σ,T)<<T^{2(1-σ)+ε}
特に連続する素数pn,pn+1について
Pn+1-pn<<n^(1/2+ε)
と予想されるのである。
素数の間隙の大きさに対するこのモンゴメリの予想の評価はリンデレフ予想またはリーマン予想から導かれる評価と本質的に同じ強さである。
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