■シンプルかつ深い(その5)
a=p1^e1p2^e2・・・pr^erのとき,相異なる素因数すべての積を
rad(a)=p1p2・・・pr
と定義する.たとえば,
rad(19800)=rad(2^33^25^211)=2・3・5・11
rad(36)=rad(2^23^2)=2・3
rad(72)=rad(2^33^2)=2・3
rad(20)=rad(2^25)=2・5
rad(90)=rad(23^25)=2・3・5
rad(56)=rad(2^37)=2・7
しかし,ABC定理の類似:どの2つも互いに素ばa,b,cが,a+b=cを満たすとき
max(|a|,|b|,|c|)<rad(abc)
は成り立たない.たとえば,反例(カタラン)
(a,b,c)=(1,8,9)
max(|a|,|b|,|c|)=9
rad(abc)=6
そこで,条件を緩めた
max(|a|,|b|,|c|)<(rad(abc))^N
なる整数(>1)が存在する
には反例も証明も知られていない.もし,abc予想が成り立つならば,n>3Nに対するフェルマーの定理
x^n+y^n=z^n
も成り立つ.
また,望月新一先生解決したと述べているのは,これを精密化した
max(|a|,|b|,|c|)<(rad(abc))^κ
は有限集合であるという,エステルレ・マッサー予想である.κ=1は無限集合であり,κ=1.5は13,κ=1.6は3つ,κ=2はひとつも知られていない.
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