■無限次元空間の球充填問題(その9)

  −1≦(log2Δ(n))/n≦−.599 下界はミンコフスキーによるものであり、ある種の格子を用いた詰め込みにわたる平均をとることにより証明された(実際R^n内のランダム格子の格子点を詰め込む球の中心として用いることにより、この密度を得る

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【2】(log2Δ(n))/nの下界と上界

 ミンコフスキーは,数の幾何学の理論を利用して,

  Δ≧ζ(n)/2^(n-1)

を得た.ここで,n→∞とするとき,リーマンのゼータ関数

  ζ(n)=Σ1/k^n→1

であるから,

  log2Δ≧−n+1

したがって

  (log2Δ(n))/n≧−1

となる.

 一方,上界は単体的密度限界dnで粗雑ながら押さえられる.

  Δ≦dn≦1

すべてのnに対して,

  (−n≦)log2Δ≦−n/2+log2(n/2+1)

が成り立ち,n→∞のとき,

  dn 〜 (n/e)2^(-n/2)

であるから,これで,n→∞のとき,

  (log2Δ(n))/n≦−0.5

が得られる.

  (log2Δ(n))/n≦−0.599

はそれを精緻化したものである.詳細は種本に譲ることにするが,格子状,非格子状の最密充填配置における

  −1≦(log2Δ(n))/n≦−0.599

という結果は,次元がひとつ増すごとに充填密度Δ(n)がおよそ1/2〜1/1.51になるという計算が成り立つことを示している.

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