■ニュートンの最大接吻数問題(その2)
4次元の場合の最大接吻数問題はどうなるでしょうか? 24個の面心立方格子状配置の接触点
1/√2(±1,±1,0,0)
1/√2(±1,0,±1,0)
1/√2(±1,0,0,±1)
1/√2(0,±1,±1,0)
1/√2(0,±1,0,±1)
1/√2(0,0,±1,±1)
で重ならないように置けるので,τ4≧24は明らかです.また,τ4≦25は示されています。 n次元ユークリッド空間において,1つの単位球に同時に接触することのできる単位球の最大個数τnの正確な値を決定する問題は大変難しく,τ4が24であるか25であるかは未解決でしたが、2003年になって,ようやくロシアの数学者ミュージンよりτ4=24であることが証明されています.
専門的になりますが,τ8の240個の点はE8型の単純リー代数の240個のルート格子で実現されます.また,1965年,リーチは群論と深く結びついた今日リーチ格子として知られるようになったものに基づいて,24次元空間の格子状詰め込みを構成しました.この詰め込みにおいては,なんと1つの超球に196560個もの超球が接触しています.τ24の196560個の点はリーチ格子の原点から一番近い点の集合として得られることが知られています.また,n=24のとき,ランダムな配置まで含めてもリーチ格子が唯一最密な球の詰め込みを与えることが証明されています(コーン,クマール:2004年).
つまり,8次元と24次元は,接吻数が計算できる特殊な次元なのであり,都合のいい格子(8次元の場合,格子にはE8,24次元の場合,リーチ格子という名前が付いている)がひとつに決まるので,格子上に球を配置することによってすぐに接吻数を数えることができるというわけです.
5次元以上の高次元については,高度に対称的な格子状配置になっている8次元(240個)と24次元(196560個)の場合を除いて未解決であり,現在,正確な値が知られているのは,
τ1=2,τ2=6,τ3=12,τ4=24,τ8=240,τ24=196560
の6つだけなのです.
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