■球面上の幾何学(その27)
(その21)エルデシュの問題「三角形の内部の点Pから各辺への距離の合計は,点Pから各頂点への距離の合計の半分以下であることを証明せよ」である.このエルデシュの問題はイギリスの数学者モーデルによって,1937年に証明されている.
今回のコラムではエルデシュ・モーデルの定理に関係する,より初等的な問題を取り上げてみたい.
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[Q1]凸四角形の内部に,4つの頂点からの距離の和が最少になる点を求めよ.
[A1]対角線の交点.
三角不等式「三角形の1辺は他の2辺の和より小さい」より簡単に証明できる.同様に四角不等式「四角形の1辺は他の3辺の和より小さい」,n角不等式「n角形の1辺は他のn−1辺の和より小さい」
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[Q2]正方形ABCDと同じ平面上の点Oがある.点Oから点Aまでの距離は,点Oから他の3頂点までの距離の和より大きくないことを証明せよ.
[A2]三角不等式より,AC+OC>OA,OB+OD>BD
→AC+OC+OB+OD>OA+BD
→OC+OB+OD>OA (∵AC=BD)
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[Q3]凸四角形の対角線の和は,4辺の長さの和より小さいが,4辺の長さの和の1/2より大きいことを証明せよ.
[A3]対角線の交点をOとする.
[1]三角不等式より,AB+BC>AC,BC+CD>BD,CD+AD>AC,AD+AB>BD
→2(AB+BC+CD+DA)>2(AC+BD)
→AB+BC+CD+DA>AC+BD
[2]三角不等式より,OA+OB>AB,OB+OC>BC,OC+OD>CD,OD+OA>AD
→2(OA+OB+OC+OD)>2(AC+BD)>AB+BC+CD+DA
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[Q4]凸五角形の対角線の和は,5辺の長さの和より大きいが,5辺の長さの和の2倍より小さいことを証明せよ.
[A4]対角線の交点をP,Q,R,S,Tとする.
[1]三角不等式より,AP+PB>AB,BQ+QC>BC,CR+RD>CD,DS+SE>DE,ET+TA>EA
→AP+PB+BQ+QC+CR+RD+DS+SE+ET+TA>(AB+BC+CD+DE+EA
左辺に五角形PQRSTの周の長さを足せば,凸五角形の対角線の和は5辺の長さの和より大きい.
[2]三角不等式より,AB+BC>AC,BC+CD>BD,CD+DE>CE,DE+EA>DA,EA+AB>EB
→凸五角形の対角線の和は,5辺の長さの和の2倍より小さい.
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[Q5]三角形の内部に2点X,Yをとると,2点間の距離は三角形の周の長さの1/2より大きくならないことを証明せよ.
[A5]XYを延長し,三角形の辺との交点をE,Fとする.
三角不等式より,AE+EF>AF
四角不等式より,EB+BC+CF>AF
両辺を加えると,EFは三角形の周の長さの1/2より小さくなる.さらに,XY<EF.
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