■球面上の幾何学(その26)

 任意の三角形に対して

  tanα+tanβ+tanγ=tanαtanβtanγ

が成り立つ.

 この式は

  γ=π−(α+β)

として,tanの加法公式を用いることにより容易に証明される.役に立つかどうかは別として,私にとってこの公式は対称性のある美しい公式と感じられる.もちろん,美しく感じるかどうかは主観的であり,強制すべきものではないが,きっと多くの人の美意識にも訴えるに違いない(希望).

 鋭角三角形ならば,算術平均≧幾何平均より

  tanα+tanβ+tanγ≧33√tanαtanβtanγ

前項より,

  tanαtanβtanγ≧33√tanαtanβtanγ

したがって,

  tanαtanβtanγ≧√27=3√3

であるから,

  tanα+tanβ+tanγ≧3√3   (等号は正三角形のとき)

を容易に証明することができる.

 これについても

  sinαsinβsinγ≦(3√3/2π)^3αβγ

な不等式が成り立つのだろうか?

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 一般に,鋭角αi(i=1〜n),Πtanαi≦A^nならば

  Σαi≦n・arctanA

が成り立つ.三角形の場合は

  α+β+γ≦3・arctan(√3)=3・π/3=π

となって,

  α+β+γ=π

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