■球面上の幾何学(その3)
【1】球面三角法
半径1の球面(単位球面)上に3点A,B,Cがあり,それぞれが大円の弧で結ばれているものとします.球面三角形ABCの3辺の長さ(球面距離)をa,b,cで表すとそれぞれ大円の中心角となります.すなわち,単位球では球面距離を中心角と同一視できるわけです.また,内角A,B,Cは大円同士が交わる面角の大きさです.
球面三角法の公式は多数ありますが,計算に便利なように単位球における式として与えられています.「サイコロの数理」で用いたのは平面三角形の余弦定理に該当する
cosc=cosa・cosb+sina・sinb・cosC
とその巡回置換,それに球面三角形ABCの面積Sを角過剰として表した
S=A+B+C−π
の2つだけです.
===================================
【2】正多面体群
SO(3)の運動群T,O,I
T=A3,O=S4,I=A5
をそれぞれ正四面体群,正八面体群,正二十面体群と呼ぶ.正八面体群を立方体群,正二十面体群を正十二面体群と呼んでも良いのかもしれないが,面が三角形であるほうで呼ぶのが慣例である(不公平?).
今回のコラムでは正四面体,正八面体,正二十面体の辺が中心においてなす角を求めてみたい
cosc=cosa=cosb,C=A=B
ですから
cosC=(cosc−cos^2c)/sin^2c
=cosc/(1+cosc)
C=arccos(cosc/(1+cosc))
C=A=Bですから,A+B+C=3C.したがって,球面三角形ABCの面積S3は
S3=3C−π
で与えられることがわかります.
また,それぞれ,
4S3=4π(全表面積)
8S3=4π(全表面積)
20S3=4π(全表面積)
ですから,
C=2π/3(正四面体)→cosc=−1/3(109.5°で,ダイヤモンド結晶の隣りあった原子間の角度)
C=π/2(正八面体)→cosc=0(90°)
C=2π/5(正二十面体)→cosc=1/√5
===================================