■ベシコヴィッチ集合の次元に関する予想(その3)
【1】フラクタル幾何学
ハウスドルフ測度Hはルベーグ測度Lを一般化したものになっていて,n次元単位球の体積をvnとすれば,
L=2^(-n)vnH=2^(-n)π^(n/2)/Γ(n/2+1)H
の関係があることが知られている.
2^nは1辺の長さが2の超立方体の体積であるし,
vn=π^(n/2)/Γ(n/2+1)
は半径1の単位超球の体積である.すなわち,この式からハウスドルフ測度Hは円被覆,ルベーグ測度Lは正方形被覆と関係しているということが読みとれるであろう.
掛谷予想ととりわけフーリエ解析との古くしかも深いものがある。
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[0,1]上の1変数の可積分関数fに対して、その部分和
sNf(x)=Σ(|n|<=N)cn(f)exp(2πinx),cn=∫(0,1)f(t)exp(-2πinx)dt
を考える。N→∞のとき、sNf(x)→fに収束する(リースの定理)。
しかし2変数以上になると様相が一変する。d変数の場合、
方形和:sNf=Σ(|n1|<=N,・・・,|nd|<=N)cn1,cn2,・・・,cnd(f)exp(2πi(n1x1+n2x2+・・・ndxd)
球形和:sNf=Σ(n1^2+・・・nd^2<=N)cn1,cn2,・・・,cnd(f)exp(2πi(n1x1+n2x2+・・・ndxd)
といった部分和が考えられる。
方形和では多変数の場合であってもリースの定理が成り立つが、球形和の場合は成り立たない。
フェファーマンはシェーンベルグによって改良されたベシコヴィッチによる掛谷集合の構成法を本質的に用いて、多変数の場合、球形和ではリースの定理が成り立たないことを証明したのであった。フェファーマンの結果は円板予想2d/(d+1)<p<2d/(d-1)を覆すものであった。
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【2】雑感
マーデルング定数の計算においても、方形和は収束し、球形和は収束しないのであった。
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