■コラッツのアルゴリズムとカプレカーのアルゴリズム(その27)
今回のコラムではある数から始めて,一定の手続きを繰り返すと最初の数の戻るという現象を紹介します.
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【1】コラッツの3n+1問題
数をひとつ勝手に選ぶ.
[1]その数が奇数なら,3倍して1を加える.
[2]その数が偶数なら,2で割る.
どんな数を最初に選ぼうとも,この操作を繰り返し行えば必ず1になって終わる(最後はいつも4→2→1というループに陥る).しかし,あらゆる数に対して成り立つという証明も反例となる数値も見つかっていない.
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【2】カプレカーの定数
[1](全部の桁が同じ数字ではない)4桁の数をひとつ勝手に選ぶ.
[2]各数字を大きい順に並べ直した数から小さい順に並べ直した数を引く.[3]同じ操作を繰り返す.
どんな4桁の数から出発しても,最大7回で6174になる.いったん6174に到達すると何回繰り返してもまた6174になる.このループはインド人数学者カプレカーによって発見された(1946年).
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【3】桁数の変更
2桁の数をカプレカー変換することによって,いずれ81→63→27→45→09→81ループに入り込む.ループの入り口は81ひとつではなく,たとえば63からループに入り込んだりする.それに対して,すべての3桁の数,4桁の数の入り口はひとつで,それぞれ最終的に495,6174に落ちつく.
[1](全部の桁が同じ数字ではない)2桁の数を最初の選ぶと,カプレカー定数は81となり,長さ5のループが現れる(81→63→27→45→09→81).
[2]3桁の数を最初の選ぶと,カプレカー定数は495となり,長さ1のループが現れる(495→495).
[3]4桁の数を最初の選ぶと,カプレカー定数は6174となり,長さ1のループが現れる(6174→6174).
もっと桁数の多い数から始めるとかなり複雑であり,複数のサイクルが現れたりする.
[4]5桁の数を最初の選ぶと,カプレカー定数は53955,61974,62964のいずれかとなり,それぞれのループは
長さ2(53955→59994→53955)
長さ4(61974→82962→75933→63951→61974)
長さ4(62964→71973→83952→74943→62964)
[5]6桁の数を最初の選ぶと,カプレカー定数は549945,631764,420876のいずれかとなり,それぞれのループは
長さ1(549945→549945)
長さ1(631764→631764)
長さ7(420876→851742→750843→840852→860832→862632→642654→420876)
[6]7桁の数を最初の選ぶと,カプレカー定数は7509843となり,そのループは
長さ8(7509843→9529641→8719722→8649432→7519743→8429652→7619733→8439552→7509843)
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【4】10進法以外
4桁の数に対して10進法以外で同様な現象が起こるのは,1000未満では5進法,40進法,160進法,640進法のときだけであることを加納幹雄が示した.
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【5】カプレカー数
カプレカーの定数と似て非なるものにカプレカー数がある.カプレカー数とはn桁の数を2乗し,その数の右側からn桁の数と左側からnまたはn−1桁の数を足すと元の数に戻る数である.混同しないように・・・
9^2=81,8+1=9
45^2=2025,20+25=45
297^2=88209,88+209=297
703^2=492909,492+209=703
4879^2=23804641,238+4641=4879
17344^2=300814336,3008+14336=17344
538461^2=289940248521,289940+248521=538461
1/7=0.142857142857・・・の循環節(長さ6):142758もカプレカー数となる.142857はレプユニットである11でも111でも割り切れる.また,9,99,999,9999もカプレカー数であり,このことは9の数が増えてもずっと成り立つ.もし,n桁の数xがカプレカー数ならはx^2−xはn桁のレプユニット×9=10^n−1で割り切れる.
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