■ミンコフスキー和(その2)

 日本の国土をA,半径rの円板をBとして,陸地の各点にこの円板を貼り付けることによって定まる領域がA+Bである.すなわち,陸地からの距離がr以下の海の部分を陸地に加えた領域がミンコフスキー和A+Bである.今回のコラムでは,A,B,A+Bの3つの面積の関係を述べたブルン・ミンコフスキーの不等式を紹介する.

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【1】ブルン・ミンコフスキーの不等式

 冒頭では平面での場合を述べたが,一般のn次元図形に対しても不等式

  |A+B|^1/n≧|A|^1/n+|B|^1/n

が成立する(平面図形の場合はn=2).等号成立はAとBは相似の位置にあるか,またはAはBの平行移動であるときである.

1887年にブルンがn=3の場合を示した。世紀の変わり目にミンコフスキーがすべてのnに対して示した。凸タイの幾何学の根幹をなしている

 また,2つの凸図形K0,K1が与えられたとき,K0からK1への連続変形

  Kt=(1−t)K0+tK1   (0≦t≦1)

においては

  |Kt|^1/n≧(1−t)|K0|^1/n+t|K1|^1/n

が成り立つ.

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