■等周不等式(その12)

シャボン玉はどうして丸いのか? シャボン玉は表面張力が最小となる形状になるはずであるが、表面張力の総和は表面積に比例する。そのため、シャボン玉は表面積を最小にしようとして球体になるわけである。

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半径rの球体ならば、V=4πr^3/3, S=4πr^2

半径(次元)によらず評価するために(dimension free form)

S/V^2/3=3^2/3・4^1/3・π^1/3

n次元では,単位球の体積をv(n)と置けば

右辺はnv(n)^1/nで表される

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証明にはシュタイナー対称化を用いる方法やブルン・ミンコフスキー不等式を用いる方法があるが、2次元の場合は1次元ポアンカレ不等式を用いて初等的に証明することができる。

1次元ポアンカレ不等式

u(x)がu(0)=u(2π)=0で周期的かつ∫(0,2π)u(x)dx=0のとき、

∫(0,2π)(u'(x))^2dx≧∫(0,2π)(u(x))^2dxが成り立つ

2次元等周不等式の証明

u(x)=a0+a1cosx+b1sinx+a2cos2x+b2sin2x+・・・

u'(x)=-a1sinx+b1cosx-2a2sincos2x+2b2cos2x+・・・

∫(0,2π)(u(x))^2dx=π(a1^2+b2^2+a2^2+b2^2+・・・)=πΣ(ak^2+bk^2)

∫(0,2π)(u'(x))^2dx=π(a1^2+b2^2+2^2a2^2+2^2b2^2+・・・)=πΣk^2(ak^2+bk^2)

したがって、ak=bk=0(k≧2)のときだけ等号になる

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