■いろいろな不等式(その42)

ブルン・ミンコフスキーの不等式はPrekopa-Leindlerの不等式として積分型の関数不等式に一般化されたことによって、幾何学のみならず解析学の舞台にも上がることになった

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【5】ブルン・ミンコフスキーの不等式

 一般のn次元図形に対してもミンコフスキー和の不等式

  |A+B|^1/n≧|A|^1/n+|B|^1/n

が成立する(平面図形の場合はn=2).等号成立はAとBは相似の位置にあるか,またはAはBの平行移動であるときである.

 また,2つの凸図形K0,K1が与えられたとき,K0からK1への連続変形

  Kt=(1−t)K0+tK1   (0≦t≦1)

においては

  |Kt|^1/n≧(1−t)|K0|^1/n+t|K1|^1/n

が成り立つ.

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【6】Prekopa-Leindlerの不等式

 f,g,hが非負な可測な関数で,すべてのx,yに対して

  h((1−t)x+ty)≧f(x)^1-tg(y)^t   (0≦t≦1)

を満たすとき,

  ∫h≧(∫f)^1-t(∫g)^t

が成り立つ.

 f,g,hをそれぞれA,B,(1−t)A+tBの特性関数とすると

  ∫h≧(1−t)(∫f)+t(∫g)≧(∫f)^1-t(∫g)^t

から

  vol((1−t)A+tB)=vol(A)^1-t×vol(B)^t

が得られる.

 これはブルン・ミンコフスキーの不等式

  |Kt|^1/n≧(1−t)|K0|^1/n+t|K1|^1/n

の別の形(dimension free form of Brunn-Minkowski)である.Prekopa-Leindlerの不等式の利点は次元が出てこないことである(次元によらず評価されていることにある).

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