■電卓と2乗保型数(その48)

 さらにまた,別の例を挙げてみましょう.

「4n+3の数はa^2+b^2の形にならない.」

[証]

  a=4k   → a^2=0  (mod 4)

  a=4k+1 → a^2=1  (mod 4)

  a=4k+2 → a^2=0  (mod 4)

  a=4k+3 → a^2=1  (mod 4)

したがって,a^2+b^2を4で割ったときの余りは0+0,0+1,1+0,1+1にしかならないので,この主張が示されました.

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[1]ハッセの原理(局所−大域原理)

 有理数について成り立つことと,実数およびp進数について成り立つことが同値の場合,ハッセの原理が成り立つといいます.ハッセ原理(局所−大域原理)とは,すなわち,局所(p進数)を全部集めれば全体(有理数)のことがわかるという原理です.

 2次曲線(種数0)に関してはハッセの原理が成り立ちますから,次の2つの主張は同値です.

  (1)ax^2+by^2=1を満たす有理数の組(x,y)が存在する.

  (2)ax^2+by^2=1を満たす実数の組(x,y)が存在し,各素数についても,ax^2+by^2=1を満たすp進数の組(x,y)が存在する.

例:2x^2+3y^3=1を満たすような有理数の組は存在するか?

 実数は存在します.たとえば,(x,y)=(0,1/√3).しかし,このような3進数(x,y)は存在しません.2n^2−1が3で割れるような整数が存在しないからです.したがって,有理数は3進数の1部でもありますから,このような有理数の組も存在しないということになります.

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[おまけ]どのpに対しても,3次形式

  3x^3+4y^3+5z^5

はp進数体Qpで0を表す.

 すなわち,どのpに対しても,3次形式

  3x^3+4y^3+5z^5=0  (modp)

は非自明な解をもつ.しかし,整数としては自明な解(0,0,0)しかない.

 同様に,変数の数が11以上であるどの3次形式も,p進数体Qpで0を表す.

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