■電卓と2乗保型数(その12)
(その8)はヘンゼルの補題に基づいている.ところで,
「互いに素な整数a,bに対する平方の和a^2+b^2は3で割れない.」
[証]
a=3k → a^2=9k^2
a=3k+1 → a^2=9k^2+6k+1
a=3k+2 → a^2=9k^2+12k+4
より,a^2を3で割ったときの余りは0か1になります.0になるのはaが3の倍数のときです.
b^2に対しても同じことが成り立ちますから,a^2+b^2を3で割ると,余りは0+0,0+1,1+0,1+1にしかなりません.0+0はaもbも3の倍数であることに対応していて,仮定に反します.
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[1]p進数体Qp
ところで,「互いに素な整数a,bに対する平方の和a^2+b^2は3で割れない.」はx^2+y^2=3が3進数体Q3上で解をもたないことを証明したことにほかなりません.
素数pをあらかじめ決めておいて,aを素因数分解します.pのベキ乗部分を分離して,
a=p^n・b/c
とするとき,
|a|p=p^(-n)
という式によって,aの新しい絶対値を決めます.例えば,p=3としておくと
|18|3=|2・3^2|3=3^(-2),|19|3=1,
|13/18|3=|3^(-2)・13/2|3=3^2
などとなります.
以上で定義した素数pごとに定まる絶対値をp進付値といいます.p進付値は普通と違って,p^nはnが大きくなるとゼロに近づきます.すなわち,p進数的に小さいとは,それが高いベキで割り切れるということです.
p進数は19世紀にヘンゼルによって導入された非アルキメデス的数体系で,有理数体Qを||pで完備化して得られます.p進数の集合は
Qp={a-np^(-n)+・・・+a0+a1p+a2p^2+・・・+anp^n}
0≦ai≦p−1
と書けるのですが,これらの数の中で四則演算ができますから,体をなすというわけです.
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