■アぺリの微分方程式(その12)
ζ(3)=2π^2/7log2+16/7∫(0,π/2)xlog(sinx)dx
の∫(0,π/2)xlog(sinx)dxはログサイン積分とも呼ぶべきものですが,ここで,ポリログ関数(polylogarithm)を導入することにしましょう.
ポリログ関数は
ジログ関数:L2(x)=Σx^n/n^2=-∫(0,x)log(1-t)/tdt
Ln+1(x)=∫(0,x)Ln(t)/tdt
で定義される関数ですが,
トリログ関数:L3(x)=Σx^3/n^3,
テトラログ関数:L4(x)=Σx^4/n^4,
ペンタログ関数:L5(x)=Σx^5/n^5,
・・・・・・・
などを総称してポリログ関数と呼びます.
特に
Ln(1)=(-1)^(n-1)/(n-1)!∫(0,1){log(t)}^(n-1)/(1-t)dt
=ζ(n)
より,Ln(1)はゼータ関数の特殊値となります.
ポリログ関数の公式を用いると,オイラーの等式
ζ(3)=2π^2/7log2+16/7∫(0,π/2)xlog(sinx)dx
に相同な等式
L3(1)=ζ(3)=5/4L3(φ^(-2))+2π^2/15logφ-2/3(logφ)^3
φ=(1+√5)/2
を得ることができます.
また,一連のログサイン積分
∫(0,π/3){log(2sin(θ/2))}^2dθ=17π^3/108
∫(0,π/3)θ(log(2sin(θ/2)))^2dθ=17π^4/6480
も得られますが,ここで,
1/2Σ1/n^4(2n,n)=∫(0,π/3)θ{log(2sin(θ/2))}^2dθ
であることが示せれば,本コラムの目的(ポールテンの問題)は達成されたことになります.
(証明)
2(arcsin(x))^2=Σ(2x)^2n/n^2(2n,n)
より,
Σ1/n^4(2n,n)=∫(0,1/2){∫(0,u)(arcsin(x))^2dx/x}du/u
ここで,右辺に部分積分を2回繰り返すことによって
Σ1/n^4(2n,n)=2∫(0,π/3)θ{log(2sin(θ/2))}^2dθ
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