■アぺリの微分方程式(その11)
【4】ゼータとポリログ関数
ところで,オイラーはいろいろな工夫をして,
log(sinx)=-Σcos(2nx)/n-log2
であることをつきとめ,広義積分
∫(0,π/2)log(sinx)dx=-π/2log2
の値を求めています.
また,これを代入して計算すれば
1/1^3+1/3^3+1/5^3+・・・=π^2/4log2+2∫(0,π/2)xlog(sinx)dx
ζ(3)=2π^2/7log2+16/7∫(0,π/2)xlog(sinx)dx
が得られます(1772年).
このとき,
1+1/3^3+1/5^3+1/7^3+・・・
の値が必要になりますが,この値はζ(3)=Σ1/n^3 から次のようにして求まります.
1+1/2^3+1/3^3+1/4^3+・・・
=(1+1/2^3+1/4^3+・・・)(1+1/3^3+1/5^3+・・・)
=1/(1−1/8)・(1+1/3^3+1/5^3+・・・)
より,分母を奇数のベキ乗だけにすると一般式は
{1-2^(ーs)}ζ(s)
さらに,
1/1^s−1/2^s+1/3^s−1/4^s+・・・
=2(1/1^s+1/3^s+1/5^s+1/7^s+・・・)−(1/1^s+1/2^s+1/3^s+1/4^s+・・・)
より,+,−が交互に出現すると一般式
{1-2^(1ーs)}ζ(s)
を得ることができます.
オイラーによる
ζ(3)=2π^2/7log2+16/7∫(0,π/2)xlog(sinx)dx
という結果(log2の有理式×π^2)から,ζ(2n+1)は有理数と円周率から四則演算によって得られる数ではないだろうと予想されていますが,証明されてはいません.また,log2を含むであろうと推測されています.
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