■チェビシェフの素数定理(その54)

 チェビシェフの定理はn<p≦2nを満たす素数が少なくともひとつ存在することを示しているが,実際にはどれくらいあるのだろうか?

===================================

【1】フィンスラーの定理(x≧2)

 x/(3log2x)<π(2x)−π(x)<7n/(5logx)

 この定理の左半分の不等式

  f(x)=x/(3log2x)<π(2x)−π(x)

において,

  f’(x)=(log2x−1)/3(log2x)^2>0・・・単調増加

 x=2^4のとき,f(x)=x/(3log2x)

=16/15log2>1

x≧16のとき,2≦π(2x)−π(x)

すなわち,x<p≦2xを満たす素数は少なくとも2個存在する.

 さらに,x≧6のときは実際に,

  2≦π(2x)−π(x)

が確かめられるので,x≧6のとき,2≦π(2x)−π(x),すなわち,n<p≦2nを満たす素数は少なくとも2個存在することが示された.

===================================

 また,チェビシェフの定理は

  pn+1<2pn  (n≧1)

であるが,

  pn+2≦pn+pn+1  (n≧2)が成り立つ.

===================================