■チェビシェフの素数定理(その11)
nと2nの間に素数がある(あるいはnが十分大きければnと1.5nの間に素数がある)は,リーマン予想=「nとn+k√nの間に素数はある」に較べればずいぶん粗い結果ですが,高度の数学を使わずにかなりの結果が導かれるという一例になっています.
今回のコラムでは(その7)を(その8)の書式に書き換えてみます.なお,ルジャンドルの予想
「n^2と(n+1)^2の間に常に素数が存在する」
は未解決問題として知られています.
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【1】nとknの間に素数がある
それは言い換えると
π(kn)−π(n)≧1,1<k≦2
で,k=2の場合がベルトラン・チェビシェフの定理,k=3/2の場合がボノリスの定理である.
リーマン予想を仮定すると,コッホの結果より,
π(x)=Li(x)+O(x^1/2logx)
|π(x)−Li(x)|≦C・x^1/2logx
したがって,nが十分大きいとき,
π(kn)−π(n)≧Li(kn)−Li(n)−C(kn)^1/2log(kn)−Cn^1/2logn
=∫(kn,n)du/logu−C{(kn)^1/2log(kn)+n^1/2logn}
>{kn−n}/log(kn)−C{(kn)^1/2log(kn)+n^1/2logn}
ここで,第1項は(k−1)n/logn程度,第2項はC(k^1/2−1)n^1/2logn程度の大きさであるから
π(kn)−π(n)〜(k−1)n/logn
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