■超越数とその仲間たち(その36)
【1】ベータ関数
ベータ関数において,a=m/n,b=1/2とおき,t=x^nと置換すると,
∫(0,1)x^(m-1)/(1-x^n)^(1/2)dx=Γ(m/n)√π/nΓ(m/n+1/2)
したがって,
(m,n)=(1,1)のとき,∫(0,1)1/(1-x^1)^(1/2)dx=2
(m,n)=(1,2)のとき,∫(0,1)1/(1-x^2)^(1/2)dx=π/2
(m,n)=(1,3)のとき,∫(0,1)1/(1-x^3)^(1/2)dx=Γ^3(1/3)/2^(4/3)3^(1/2)π
(m,n)=(1,4)のとき,∫(0,1)1/(1-x^4)^(1/2)dx=Γ^2(1/4)/2^(5/2)π^(1/2)
が得られます.
∫(0,1)1/(1-x^1)^(1/2)dx=2
∫(0,1)1/(1-x^2)^(1/2)dx=π/2
は初等的にも得ることができます.一方,
∫(0,1)1/(1-x^3)^(1/2)dx=Γ^3(1/3)/2^(4/3)3^(1/2)π
∫(0,1)1/(1-x^4)^(1/2)dx=Γ^2(1/4)/2^(5/2)π^(1/2)
は,特別な数と楕円積分を関係づけるものになっています.
なお,
∫(0,1)1/(1-x^3)^(1/2)dx=Γ^3(1/3)/2^(4/3)3^(1/2)π
を得るには,ガンマ関数の乗法公式(倍数公式)
Γ(x/2)Γ((x+1)/2)=π^(1/2)Γ(x)/2^(x-1)
と相反公式(相補公式)
Γ(x)Γ(1-x)=π/sinπx
また,
∫(0,1)1/(1-x^4)^(1/2)dx=Γ^2(1/4)/2^(5/2)π^(1/2)
を得るには乗法公式を用いています.
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【2】レムニスケート周率
レムニスケートの弧長lは
l=∫(0,r){1+(rdθ/dr)^2}^(1/2)dr
=∫(0,r)2a^2/{4a^4-r^4}^(1/2)
とくに,a=1/√2とおくと,
l=∫(0,r)1/{1ーr^4}^(1/2)
となります.
このようにして,ベルヌーイはレムニスケートの弧長を
f(x)=1/(1-x^4)^(1/2)
u=F(z)=∫(0,z)f(x)dx
と表しました.これがレムニスケート積分と呼ばれる積分です.
ここで,
1/2・∫(0,1)f(x)dx=1.311028・・・=ω
とおくことにしましょう.4ωがレムニスケートの全長です.円に類比すると,レムニスケートの定数ωは円に対するπと同じ役割を演じていることになります.
さらにまた,レムニスケートには円に共通する性質があり,定規とコンパスだけで奇数のn等分することができる必要十分条件はnがフェルマー素数(n=2^(2^m)+1の形の素数:3,5,17,257,65537)であることです.
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