■超越数とその仲間たち(その21)

【6】ζ(5)の無理数性?

 すでに無理数とわかっているζ(2),ζ(3),ζ(4)と同様

  ζ(5)=Σ1/n^5

も無理数と思われていますが,まだ証明されていません.アペリの証明はζ(3)に特化したもので,ζ(5)に拡張することはできないのです.

===================================

Σ1/(2nCn)={2π√3+9}/27

  Σ1/n(2nCn)=π√3/9

  3Σ1/n^2(2nCn)=ζ(2)

  12Σ(2-√3)^n/n^2(2nCn)=ζ(2)

  5/2Σ(-1)^(n-1)/n^3(2nCn)=ζ(3)

  36/17Σ1/n^4(2nCn)=ζ(4)

ζ(2),ζ(3),ζ(4),・・・がΣ1/n^k(2nCn)あるいはΣ(-1)^(n-1)/n^k(2nCn)の簡単な有理数倍になっていることから

  ζ(5)=R*Σ(-1)^(n-1)/n^5(2nCn)

と予想されます.しかし,予想に反して,Rはたとえ有理数であったにしても簡単なものにはなりません.結局,ζ(2),ζ(3),ζ(4)だけが

  ζ(k)=R*Σ1/n^k(2n,n),ζ(k)=R*Σ(-1)^(n-1)/n^k(2n,n)

で表されることが確かめられています.

===================================

2000年にズディリンとリヴォールが無限個のζ(2n+1)が無理数であること,2001年には,ζ(5),ζ(7),ζ(9),ζ(11)のうち,少なくともひとつは無理数であることを証明した.しかし,この証明からは4つの数のうちどれが無理数であるかはわからないという.いまだζ(3)が超越数であるかどうかは知られていませんし,ζ(5),ζ(7),・・・が有理数なのか無理数なのかもわかっていません.

===================================