■ディオファントス・フェルマー・ワイルズ(その12)

x^2−Dy^2=1とは違って,x^2−Dy^2=−1は解をもつとは限らない.たとえば,D=3,6,7,8,11,12,・・・

などの場合は解をもたないのであるが,たまたま,これらは解をもつ.実際に解いてみると

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[1]an^2−2bn^2=−1

が成り立つ最小解は(a,b)=(1,1)であることから,

  (1+√2)^n=an+bn√2

  (1−√2)^n=an−bn√2

を満足させるような整数列{an},{bn}を考えます.これらの数列は

  an^2−2bn^2=(−1)^n

となる関係式で結ばれていて,

  an/bn→ √2

ですから,√2に最も近い最良近似分数を与えることがわかります.しかし,符号が交互に代わるため

  an+1+bn+1√2=(1+√2)(3+√2)^n-1(an+bn√2)

          =(3an+4bn)+(2an+3bn)√2

とすると

  an+1=3an+4bn,bn+1=2an+3bn

  an+1=3an+4bn=3an+4(2an-1+3bn-1)

 =3anーan-1+3(3an-1+4bn-1)=6anーan-1

  bn+1=2an+3bn=2(3an-1+4bn-1)+3bn

 =3(2an-1+3bn-1)ーbn-1+2bn=6bnーbn-1

これより,

  an+1=6anーan-1,bn+1=6bnーbn-1

(a1,b1)=(1,1)

(a2,b2)=(7,5)

(a3,b3)=(41,29)

(a4,b4)=(239,169)

(a5,b5)=(1393,985)

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[2]an^2−12bn^2=1

が成り立つ最小解は(a,b)=(7,2)であることから,

  (1+√12)^n=an+bn√12

  (1−√12)^n=an−bn√12

を満足させるような整数列{an},{bn}を考えます.これらの数列は

  an^2−12bn^2=1^n

となる関係式で結ばれていて,

  an/bn→ √12

ですから,√12に最も近い最良近似分数を与えることがわかります.

  an+1+bn+1√12=(1+√12)^n(an+bn√12)

          =(an+12bn)+(an+bn)√12

より

  an+1=an+12bn,bn+1=an+bn

  an+1=an+12bn=an+12(an-1+bn-1)

 =an+11an-1+(an-1+12bn-1)=2an+11an-1

  bn+1=an+bn=(an-1+12bn-1)+bn

 =(an-1+bn-1)+11bn-1+bn=2bn+11bn-1

これより,

  an+1=2an+11an-1,bn+1=2bn+11bn-1

(a1,b1)=(7,2)

(a2,b2)=(31,9)

(a3,b3)=(139,40)

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[3]an^2−6bn^2=−1

が成り立つ最小解は(a,b)=(5,2)であることから,

  (1+√6)^n=an+bn√6

  (1−√6)^n=an−bn√6

を満足させるような整数列{an},{bn}を考えます.これらの数列は

  an^2−6bn^2=(1)^n

となる関係式で結ばれていて,

  an/bn→ √6

ですから,√6に最も近い最良近似分数を与えることがわかります.

  an+1+bn+1√6=(1+√6)^n(an+bn√6)

          =(an+6bn)+(an+bn)√2

より

  an+1=an+6bn,bn+1=an+bn

  an+1=an+6bn=an+6(an-1+bn-1)

 =an+5an-1+(an-1+6bn-1)=2an+5an-1

  bn+1=an+bn=(an-1+6bn-1)+bn

 =(an-1+bn-1)+5bn-1+bn=2bn+5bn-1

これより,

  an+1=2an+5an-1,bn+1=2bn+5bn-1

(a1,b1)=(5.2)

(a2,b2)=(16,7)

(a3,b3)=(57,24)

(a4,b4)=(194,83)

(a5,b5)=(673,286)

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これよりm=24が解であることはわかったが,唯一であることは証明できるだろうか? この問題は楕円曲線y^2=x(x+1/2)(x+1)/3上の整数点に帰着させるか,連立ペル方程式に帰着させるかであって,後者であれば双曲線上の整数交点の問題となる.第1象限の交点を考えれば,唯一解であることが理解される.

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