■ディオファントス・フェルマー・ワイルズ(その9)

リュカの問題

  1^2+2^2+3^2+・・・+24^2

=24(24+1)(2・24+1)/6

=70^2

は,最初の24個の平方数の合計が平方数になっているという面白い式です.驚異的・曲芸的ですらあります.

===================================

【1】楕円関数論

 級数の公式:Σk^2=n(n+1)(2n+1)/6をご存じの方も多いでしょうが,1からnまでの平方の和が平方数となるのはnが1か24の場合しかありません.四面体数=四角数あるいは25平方の等式ともいうべきこの等式はリュカの問題(1873年)として知られています.

楕円曲線:y^2=x(x+1)(2x+1)/6上の唯一自明でない整数解は(24,70)で,それ以外の自明な解がないことは1918年にワトソンにより楕円関数論を用いてなされました.すなわち,1より大きい数でこれが起こるのは24だけで,それ以外の数では決して最初のN個の平方の和は平方数にはならないのです.

リュカの問題の場合,たまたま解が(1,1),(24,70)しかないことはうまく証明されましたが,3次以上の不定方程式には一般的な解法がなく,ケース・バイ・ケースに考えるしかないこと,また,楕円曲線上の有理点の存否や個数については大問題になっていることから,初等的な証明ができるものかは難しいところがありますが,まず,合同式を使ってアプローチしてみます.

===================================