■オイラー積と素数定理(その52)
リーマンは積分を用いた解析接続法を2つ示しました.そのひとつが
ξ(s)=π^(-s/2)Γ(s/2)ζ(s)
で定義された完備リーマンゼータに対して
ξ(s)=ξ(1-s)
のように完全に左右対称な美しい形になることを示すことです.
リーマンは
ξ(s)=π^(-s/2)Γ(s/2)ζ(s)
に対する積分表示
ξ(s)=∫(0,∞)φ(t)t^(s/2-1)dt
φ(t)=Σexp(−πn^2t)
を発見しました.
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【1】証明
ξ(s)=∫(0,∞)φ(t)t^(s/2-1)dt
=∫(0,1)φ(t)t^(s/2-1)dt+∫(1,∞)φ(t)t^(s/2-1)dt
テータ変換公式
φ(t)=Σexp(−πn^2t)
=t^-1/2φ(1/t)+t^-1/2/2−1/2
2φ(1/t)+t=t^1/2(2φ(t)+1)
を第1式に対して用いると
ξ(s)=∫(0,∞)φ(t)t^(s/2-1)dt
=∫(0,1)φ(1/t)t^(s/2-3/2)dt+1/2∫(0,1)t^(s/2-3/2)dt−1/2∫(0,1)t^(s/2-1)dt+∫(1,∞)φ(t)t^(s/2-1)dt
=∫(1,∞)φ(t)t^(-s/2-1/2)dt+1/2∫(0,1)t^(s/2-3/2)dt−1/2∫(0,1)t^(s/2-1)dt+∫(1,∞)φ(t)t^(s/2-1)dt
=∫(1,∞)φ(t){t^s/2+t^(1-s)/2}/tdt+1/s(1−s)
となって
ξ(s)=ξ(1-s)
であることが示されたことになる.
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ξ(s)=1/2s(s-1)π^(-s/2)Γ(s/2)ζ(s)
あるいは
ξ(s)=s(s-1)π^(-s/2)Γ(s/2)ζ(s)
とおいた場合を考える.
たとえば,後者の場合,
ξ(s)=s(1−s)∫(1,∞)φ(t){t^s/2+t^(1-s)/2}/tdt+1
となって
ξ(s)=ξ(1-s)
であることが示されたことになる.
ξ(s)=z(s)/s(s-1)
と書くことができるが,(その5)に掲げた
ζ(a,b,s)=(s−a)(s−b)/(s−a−b)s=ζ^-1(a,s)ζ(a,s−b)
を用いると
ζ(1/2,1/2,s)=(s−1/2)^2/s(s−1)
となって,これも
ζ(1/2,1/2,1−s)=ζ(1/2,1/2,s)
を満たすというのが,
[参]黒川信重「リーマン予想を解こう」技術評論社
の要旨である.
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