■オイラー積と素数定理(その25)

【1】グレゴリー・ライプニッツ級数

 17世紀になってイギリスのニュートン,ドイツのライプニッツによる微分積分学の確立以降,πと関連をもつ無限級数として最初に発見されたものは,1671年に発見されたグレゴリー・ライプニッツ級数

  π/4=arctan1

     =1/1−1/3+1/5−1/7+1/9−1/11+・・・

  =Σ(−1)^n-1 ・1/(2n+1)

があげられます.

  1/(1+x)=1−x+x^2−x^3+・・・

これを項別積分すると

  log(1+x)=x−1/2x^2+1/3x^3−1/4x^4+・・・

が得られます.ここで,xをx^2に置き換えると

  1/(1+x^2)=1−x^2+x^4−x^6+・・・

これを項別積分して

  arctanx=x−1/3x^3+1/5x^5−1/7x^7+・・・

両辺にx=1を代入すると,グレゴリー・ライプニッツ級数

  π/4=arctan1=1/1−1/3+1/5−1/7+・・・

が得られます.

 ライプニッツはπ/4がすべての奇数の逆数を交互に加えたり引いたりしてえられる無限級数の和に一致するという事実に対して「神は奇数で楽しむ」と書いていて,この式に自然の神秘の深遠さを感じ,外交官への道から数学の研究の道に転じたといわれています.

 また,グレゴリー・ライプニッツ級数が発見されたとき,この公式を変形すればπが有理数であることが証明できるのではないかという期待があったらしいのですが,もちろんそのようなことはありえません.円周率が無理数であり,したがって循環小数ではないことは,微分積分学の初歩的な操作によって証明されています.

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【2】グレゴリー・ライプニッツ級数のオイラー積

 グレゴリー・ライプニッツ級数のオイラー積は

  (1+1/3)^-1(1−1/5)^-1(1+1/7)^-1(1+1/11)^-1(1−1/13)^-1・・・

と書くことができる.

 すなわち,4で割って3余る素数のところに

  (1+1/p)^-1

4で割って1余る素数のところに 

  (1−1/p)^-1

とおく。これはmod4のディリクレ指標に対するゼータ関数である。ni

L(s)に対する深リーマン予想とは

  (1+1/3)^-1(1−1/5)^-1(1+1/7)^-1(1+1/11)^-1(1−1/13)^-1・・・→L(1/2)√2

である

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