■オイラー積と素数定理(その24)
【2】オイラー積
オイラーの無限級数和Σ1/n^sはsの関数とみるとき,ゼータ関数ζ(s)として知られており,ζ(2)=π^2/6と表されます.また,
ζ(s)=1/1^s+1/2^s+1/3^s+1/4^s+・・・
=(1+1/2^s+1/4^s+1/8^s+・・・)(1+1/3^s+1/9^s+・・・)(1+1/5^s+・・・)・・・
=1/(1−2^-s)・1/(1−3^-s)・1/(1−5^-s)・1/(1−7^-s)・・・
=Π(1−p^-s)^-1 (但し,pはすべての素数を動く.)
と書き換えることができます.
1+x+x^2+x^3+・・・=1/(1−x)
にx=1/p^sを代入したものを,Π(1−p^-s)^-1に代入して積を展開すると,ζ(s)=Σ1/n^sとなることがおわかりいただけるでしょうか.
調和級数1/1+1/2+1/3+・・・は,オイラー積表示するとΠ(1−1/p)^-1と書けますから,
Π(1−1/p)^-1〜∞.
これらの式の右辺はオイラー積と呼ばれ,ゼータ関数と素数の間をつなぐ式になっています.したがって,ゼータ関数はすべての素数にわたる無限積であり,このような関係から,自然数全体についての和の話が素数全体についての積の話になります.
これにより,1/ζ(s)はs個の整数を勝手に選んだとき,同時に割り切ることのできる1でない数が存在しない確率であることがわかります.すなわち,2つの整数が互いに素である確率は1/ζ(2)=6/π^2(61%)となります.数学は無限の科学といわれていますが,πの無限級数が無限にある素数と深く関係していたのです.
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