■オイラー積と素数定理(その23)

sを複素変数とするとき,関数等式

  ζ(s)=π^(s-1/2)Γ((1-s)/2)/Γ(s/2)ζ(1-s)

を用いればζ(s)をs=1(極)を除くすべての複素数に対して意味をもたせることができ,sを−1とすると値が−1/12,2とすると値が0になるというわけです.Γはガンマ関数です.

 また,

ξ(s)=1/2s(s-1)π^(-s/2)Γ(s/2)ζ(s)

あるいは

ξ(s)=π^(-s/2)Γ(s/2)ζ(s)・・・完備リーマンゼータ関数

で定義すると

ξ(s)=ξ(1-s)

のように完全に左右対称な美しい形に書くことができます.ガンマ関数はゼータ関数の仲間と思ってほしい所以です.

 関数等式は

(1)sを複素変数として複素全平面への解析接続を与えることができること

(2)ζ(s)がRe(s)=1/2を対称軸とする美しい対称性をもっていること

を示しています.

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【7】リーマン予想

 ゼータ関数の対称性はガンマ関数の対称性

Γ(s)Γ(1-s)=π/sinπs

に補ってもらうとs=1/2を対称軸とする左右対称な美しい形に書くことができることがわかりました.

 半平面Re(s)<0には自明な零点以外に零点はなく,Re(s)>1で零点をもたない・・・こうして帯状の領域0≦Re(s)≦1だけが残されたことになります.このs=1/2の軸に関する対称性に基づいて,ζ(s)の零点が自明な零点s=−2,−4,・・・,−2nと非自明な零点s=1/2+tiの線上にあるというのが有名なリーマン予想です(1859年).

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