■オイラー積と素数定理(その22)
リーマン予想はゼータ関数の零点についての問題だったのであるが、深リーマン予想ではオイラー積の収束の問題を扱っている。
一見別種の問題に思えるが、パラダイムの変換である。
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【1】リーマン予想
ゼータ関数は,整数をわたる無限和(ディリクレ級数)
ζ(s)=Σ1/n^s
として定義される関数である.
ゼータ関数の複素零点は
ζ(1/2+i14.134725・・・)=0
ζ(1/2+i21.022040・・・)=0
ζ(1/2+i25.010856・・・)=0
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と続く.
また,ゼータ関数は素数全体をわたる無限積
ζ(s)=Π(1−p^(-1))^(-1)
=Π(1+1/p^s+1/p^2n+1/p^3n+・・・)
=(1+1/2^s+1/2^2n+1/2^3n+・・・)(1+1/3^s+1/3^2n+1/3^3n+・・・)(1+1/5^s+1/5^2n+1/5^3n+・・・)・・・
に等しいことがわかっている.右辺
Π(1−p^(-1))^(-1)
はディリクレ級数を丸ごと素因数分解したようなものであって,オイラー積と呼ばれる.
1859年,リーマンはゼータ関数ζ(s)の複素零点はすべて実部が1/2であるという仮説を発表した.これがかの有名なリーマン仮説であるが,140年以上経たいまも証明されないままになっている.そのため,数学における未解決問題のうち最も難しいものと考える人も多い.
リーマン予想は,一部に素数定理なども含む数学上の最大の難問であって,素数定理
π(x)〜x/logx
を精密化する問題と考えることができる.
部分積分により
∫(2,x)dt/logt=x/logx+1!x/(logx)^2+・・・+(m−1)!x/(logx)^m+・・・
であるから,素数定理はπ(x)の初項だけを求めた定理であるといえるだろう.そこで素数に関する未解決問題を解くにはリーマン予想の証明が重要になってくるのである.
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