■オイラー積と素数定理(その1)

【1】オイラー積(1737年)

調和級数: 1/1+1/2+1/3+1/4+・・・

を一般化した、すべての自然数に関する一般のオイラー級数

 Σ1/n^s =1/1^s +1/2^s +1/3^s +1/4^s +・・・

はs>1のとき収束し、0<s≦1のとき発散することは微分積分学を使って簡単に証明されます。オイラー級数はs=1で調和級数となり無限大に発散します(y=1/x^s の積分の値と比べると、s>1ではΣ1/n^s <∫1/x^s dx、s≦1では逆向きの不等式となる)。

 オイラーの無限級数和Σ1/ns はsの関数とみるとき、ゼータ関数ζ(s)として知られており、ζ(2)=π^2 /6と表されます。また、

 ζ(s)=1/1^s +1/2^s +1/3^s +1/4^s +・・・

=(1+1/2^s +1/4^s +1/8^s +・・・)(1+1/3^s +1/9^s +・・・)(1+1/5^s +・・・)・・・

=1/(1−2^-s)・1/(1−3^-s)・1/(1−5^-s)・1/(1−7^-s)・1/(1−11^-s)・・・

=Π(1−p^-s)^-1   (但し、pはすべての素数を動く。)

と書き換えることができます。

1+x+x^2 +x^3 +・・・=1/(1−x)

にx=1/p^s を代入したものを、Π(1−p^-s)^-1に代入して積を展開すると、ζ(s)=Σ1/n^s となることがおわかりいただけるでしょうか。

 この式の右辺はオイラー積と呼ばれ、ゼータ関数と素数の間をつなぐ式になっています。したがって、ゼータ関数はすべての素数にわたる無限積であり、このような関係から、自然数全体についての和の話が素数全体についての積の話になります。

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【2】ガウスによる素数定理(1792年)

1/1+1/2+1/3+1/4+・・・1/x〜logx

loglogx〜Σlogp/(p-1)〜1/2+1/3+1/5+1/7+1/11+1/13+・・・(オイラー)

ガウスはオイラー積を踏まえて、無限大に発散するというだけでなく、どの程度の勢いで発散するかという、素数定理の初期の洞察を行います。

1792年,ガウスは当時15才であったのですが、素数定理を予想しました。素数定理とは、

π(x)〜x/logx   (x→∞)

というものです。ここで、π(x)は任意の整数xを越えない素数の個数を表すものとします。 

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