■フェルマーが考察した3つの問題(その6)
曲線上の有理点全体を1つの変数の有理式として表すことのできる曲線を有理曲線といいます.楕円曲線は有理曲線でないことが知られています.
(2次曲線)
原点を中心とする半径1の円:x^2+y^2=1の円周上のひとつの有理点が(0,1)です.この点を通る直線y=mx+1と単位円との交点は,代入して因数分解すれば
x^2+(mx+1)^2=1
x((1+m^2)x+2m)=0
より
x=(2m)/(1+m^2),
y=mx+1=(1−m^2)/(1+m^2)
と表すことができます.これによって,円周上の点(x,y)が有理点であるためには,mが有理数であることが必要十分条件であることがわかります.すなわち,単位円上のすべての有理点は,mの関数
x=(2m)/(1+m^2),
y=±(1−m^2)/(1+m^2)
で表すことができます.
x^2+y^2=2(半径√2の円)において(1,1)は有理点で,この点を通る直線の方程式:y−1=m(x−1)を(x^2−1)+(y^2−1)=0に代入して因数分解すると
x=(m^2−2m−1)/(m^2+1)
y=(−m^2−2m+1)/(m^2+1)
が得られます.m=∞に対応する(1,−1)も有理点です.
このように,円の有理点全体は1つの変数mによって一意化できますが,円ばかりではなく,現在では2次曲線に1つでも有理点があると実は無限に有理点があることがわかっています.2次曲線は有理点を無限のもつか,1つももたないかのどちらかであって,たとえば,x^2+y^2=3(半径√3の円)の上には有理点は1つも存在しません.このことは,互いに素な整数a,bに対する平方の和a^2+b^2は3で割れないということからわかります.
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互いに素な整数a,bに対する平方の和a^2+b^2は3で割れない.
[証]
a=3k → a^2=9k^2
a=3k+1 → a^2=9k^2+6k+1
a=3k+2 → a^2=9k^2+12k+4
より,a^2を3で割ったときの余りは0か1になります.0になるのはaが3の倍数のときです.
b^2に対しても同じことが成り立ちますから,a^2+b^2を3で割ると,余りは0+0,0+1,1+0,1+1にしかなりません.0+0はaもbも3の倍数であることに対応していて,仮定に反します.
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x^2+y^2=3(半径√3の円)の上に有理点(A/C,B/C)、A,B,Cは同じ数では割り切れない・・・が存在したと仮定する。
(A/C)^2+(B/C)^2=3
A^2+B^2=3C^2
右辺は3の倍数→左辺は3の倍数→AもB3の倍数である→仮定に反します.
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