■コラッツ予想(その41)
任意の自然数nに対して
[1]nが奇数ならば,3n+1
[2]nが偶数ならば,n/2
にする.この工程(HOTPO手順,half or triple plus one)を繰り返し行うと常に1に到達するというのがコラッツ予想である(1930年代).
実行されたnに対しては必ず1で終結している.
6→3→10→5→16→8→4→2→1
10→5→16→8→4→2→1
11→34→17→52→26→13→40→20→10→5→16→8→4→2→1
このアルゴリズムは必ず終結するだろうか?(1→4→2→1というループに入るであろうか?) 1960年代に,角谷静夫がこの問題を知り,母校のエール大学に広めたが誰も解決することはできなかった.最近証明が発表されたが,その証明は不完全であって,いまのところ未解決である.
最後が1にならない数が存在することを証明できれば,自然数を結びつける新たなパターンから予想外の展開に繋がる可能性があるのだそうだ.
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[1]偶数
[2]4で割って1余る奇数
[3]4で割って3余る奇数
すでに計算した数までコラッツ予想が成立すると仮定すると
[1]は必ず元の数より小さくなる
[2]は4k+1→12k+4→6k+2→3k+1となって、必ず元の数より小さくなる
[3]は4k+3→12k+10→6k+5→18k+16→?
したがって、[3]の場合についてのみ証明すればよいことがわかる。
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1970年代、テラスとエベレットは
すべての自然数→ほとんどすべての自然数
1に行く→元の数より小さくなる
と、コラッツ予想を弱めた(弱いコラッツ予想)。 ほとんどすべての自然数Nはコラッツ操作を繰り返すことによって元の数より小さくなることを証明した
アリューシャはほとんどすべての自然数Nはコラッツ操作を繰り返すことによってN^(3/2-log(3)2)=N^0.869より小さくなることを証明した(1979年)
コレックはほとんどすべての自然数Nはコラッツ操作を繰り返すことによってN^(log(4)3)=N^0.7925より小さくなることを証明した(1994年)
そして、確率論的な意味で、タオによりコラッツ予想(偶数なら2で割り、奇数なら3倍して1を足すとしう操作を繰り返すと、どんな自然数でも必ず1になる)は「ほとんど」解決された。
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[1],[2]が均等に出現したら、約1.5倍になるので、元の数より大きくなる。それだと1にはならない。そこで
[1]nが奇数ならば,(3n+1)/2・・・(3n+1)は偶数
[2]nが偶数ならば,n/2
と考えると約0.75倍になるので、元の数より小さくなる。
さらに、常に1に到達するためには,途中で2^nになる必要がある. 16→8→4→2→1
したがって, 3n+1=2^mを満たす解(n,m)をすべて求めよという問題を考えることができる.
そのため、Nが含む素因数2の個数をν2(N)とおく。
ν2(8)=3
ν2(10)=1
ν2(1024)=10
[1]nが奇数ならば,(3n+1)/2^ν2(3n+1)
[2]nが偶数ならば,n/2^ν2(3n+1)
Syr(n)=(3n+1)/2^ν2(3n+1)なる関数を考えれば、コラッツ予想は,
Syr(Syr(・・・Syr(N)・・・))=Syr(N)^n=1
で表すことができる。
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1970年代、テラスとエベレットは
ほとんどすべての奇数Nに対してSyr(N)^n<Nとなることを証明した。
1990年代、Syr(N)^n<N^0.7942まで改良されたが、それではまだ1には遠く及ばない。
タオは無限に発散する任意の増加関数をf(N)として
Syr(N)^n<f(N)
を証明した。
画期的な進展なのか?まだ全然届いていないのか?
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