■ポアンカレ円板と立体射影(その5)

細長い紙の両端をくっつけて円筒を作るのではなく、1回ひねってから両端を貼り合わせるとメビウスの帯ができあがる。

この帯は表と裏の区別がなく、どちらかの面をクレヨンで塗り続けると、しまいには紙全体が塗れてしまう。ベルトを1回ひねってメビウスの帯にすると表面が2倍長持ちするのはこのためである。

エッシャーの展覧会ではありえない三角形や滝の絵に並んでメビウスの帯が登場する。メビウスの帯をぺしゃんこにしたリサイクル・ロゴはほぼどのような場所でも見られるものになっている。

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[1]ペンローズの不可能な三角形に刺激され「上昇と下降」「滝」を発表。(不可能物体)

[2] コクセターがポアンカレ円板上に描いた三角形を見て、エッシャーは有限な平面上で無限を表現する方法に気づいた。その結果生まれたのが、白い天使と黒い悪魔が双曲平面を埋める作品「天国と地獄」である。

[3] ポリアやハーグの論文を読んで、結晶構造における対称性の重要性を知ったかれは独自の幾何学的格子を用いて、多角形ではなく鳥や魚や爬虫類の入り組んだ形をはめ合わせることによって平面充填した。

[4]メビウス面

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