■ランダムウォークの母関数と準超幾何関数(その51)

【5】ディリクレ分布(多変量ベータ分布)

 ガウス型超幾何関数

  2F1(a,b,c,x)=Γ(c)/Γ(a)Γ(c-a)∫(0,1)t^(a-1)(1-t)^(c-a-1)(1-xt)^(-b)dt

は一変数関数ですが,この節では超幾何関数ではなく,ベータ関数の多次元化・多変量化(別の方向への一般化)について考えることにします.

 ベータ関数を多変数化すると,ディリクレの積分公式

  ∫x1^(p1-1)・・・xm^(pm-1)(1−x1−・・・−xm)^(q-1)dx1・・・dxm

 =Γ(p1)・・・Γ(pm)Γ(q)/Γ(p1+・・・+pm+q)

が得られます.

 →[参]高木貞治「解析概論」岩波書店,p359

 積分すると1になるように規格化したものがディリクレ分布で,x1,x2,・・・xm-1,xmが独立でそれぞれ自由度2θiのカイ2乗分布にしたがうとして,

  xm=1−Σxi,yi=xi/Σxi

とおくと(y1,・・・,ym-1)の同時確率密度関数は

  f(y1,・・・,ym-1)=Γ(Σθi)/ΠΓ(θi)・Πyi^(θi-1)

 このm−1次元分布をディリクレ分布と呼びます.m=2のときがベータ分布であって,ベータ分布の多次元化とみなすことができます.また,ディリクレ分布の周辺分布はベータ分布になります.

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