■球殻と高次元立方体の体積(その9)
【2】境界付近への測度集中
n次元単位超球の境界付近に幅δの球殻を設けて,ここに測度の80%が含まれるようなδを求めてみることにします.すなわち
P{x<Vn:1−δ≦r≦δ}=0.8
半径1と1−δの間の薄皮部分の体積は
vn(1-(1-δ)^n)
ですから,δは
vn(1-(1-δ)^n)=0.8vn
と解くと簡単に求めることができて
δ=1-0.2^(1/n)
n δ
2 .552786
3 .415196
4 .33126
5 .27522
6 .235275
7 .205403
8 .182235
9 .163749
10 .14866
20 .0773191
30 .0522342
40 .0394372
50 .0316762
60 .0264674
70 .0227296
80 .019917
90 .0177237
100 .0159655
この計算が示していることは,(直観に反して)nが大きいとき超球の体積Vnの大部分はその境界付近に集中するというものです.いわゆる薄皮まんじゅう状態なのですが,n=2,3などの場合から類推すると非常に奇妙に感じられます.
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