■球殻と高次元立方体の体積(その8)

【1】n次元単位超球の体積

 ここでは,n次元単位超球の体積を2通りの方法で求めてみます.

[1]半径rのn次元超球の体積はVnr^n,一方,n次元超球の中心を通る超平面による切り口は(n−1)次元超球であり,その体積はVn-1r^(n-1)で表されます.

 すなわち,n次元単位超球のxn=0での切り口の体積はvn-1,xn=tでの切り口の体積は

  vn-1(1-t^2)^((n-1)/2)

となります.n=3ではそれぞれ,

  v2=π,v[y]=π{(1-x^2)^(1/2)}^2

です.

 これを-1≦t≦1で積分すればvnを求めることができます.

  vn/vn-1=2∫(0,1)(1-t^2)^((n-1)/2)dt=B(1/2,(n+1)/2)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

[2]ガウス積分

I=∫(-∞,∞)exp(-x^2)dx=√π

をn次元に拡張し,

  I=∫(-∞,∞)exp(-x1^2+x2^2+・・・+xn^2)dx1dx2・・・dxn

を考えると∫(-∞,∞)exp(-x^2)dx=π^(1/2)のn重積分より,直ちに

  I=π^(n/2)

を得ることができます.

 n次元ガウス積分を別の方法,すなわち,直交座標でなく極座標で求めてみましょう.ガウス積分の被積分関数を原点を中心とする半径rの球面上で積分し,次にr=0からr=∞まで積分すると,半径rの球面上で被積分関数は一定値exp(-r^2)をとり,表面積はnVnr^(n-1)ですから,

  I=∫(0,∞)exp(-r^2)nVnr^(n-1)dr

   =nVn∫(0,∞)r^(n-1)exp(-r^2)dr

z=r^2と変数変換するとdz=2rdrより

  I=nVn/2∫(0,∞)z^(n/2-1)exp(-z)dz

   =Vnn/2Γ(n/2) n/2Γ(n/2)=Γ(n/2+1)

   =VnΓ(n/2+1)

したがって,

  Vn=π^(n/2)/Γ(n/2+1)

を得ることができます.

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