■円周率の計算(その17)

 オイラーはどうやってζ(s)を発見したのでしょうか.

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 オイラーは,三角関数sinxの展開式が

  sinx=x−x^3/3!+x^5/5!−x^7/7!+・・・

のようになることを知っていました.

 また,sinxはx=kπ(k:整数)で0になります.すなわち,方程式sinx=0にはx=0,x=±π,x=±2π,・・・のように無限個の解が存在することになります.

 したがって,sinxを因数分解して無限積表示すると

sinx=xΠ(1−x/kπ)

=・・・(1+x/2π)(1+x/π)x(1−x/π)(1−x/2π)・・・

=x(1−x^2/π^2)(1−x^2 /2^2π^2)(1−x^2/3^2π^2)・・・

=xΠ(1−x^2 /k^2 π^2 )

となります.

 このようにして,オイラーはsinxのベキ級数表示と無限積表示という異なる2通りの表示を得たのでした.そして,この無限積を展開して,無限次多項式の係数と比較します.

 たとえば,x^3の係数を比較することにより

  ζ(2)=1/1^2+1/2^2+1/3^2+1/4^2+・・・=π^2 /6

が得られます.x^5 ,x^7 ,・・・の係数同士を等号で結ぶと

  ζ(4)=π^4 /90,ζ(6)=π^6 /945,・・・

も同様に得られます.

 cosx=1−x^2 /2!+x^4 /4!−x^6 /6!+・・・

についても同じような方法を適用し,

cosx=Π(1−4x^2/(2k−1)^2π^2 )

 これより,

  1/1^2+1/3^2+1/5^2 +1/7^2 +・・・=π^2 /8

 オイラーが得た値:ζ(2)=Σ1/n^2 =π^2 /6はこの式から次のようにして求まります。

1+1/2^2 +1/3^2 +1/4^2 +・・・

=(1+1/2^2 +1/4^2 +・・・)(1+1/3^2 +1/5^2 +・・・)=1/(1−1/4)・π^2 /8

=π^2 /6

さらに,2(1/1^2 +1/3^2 +1/5^2 +1/7^2 +・・・)−(1/1^2 +1/2^2 +1/3^2 +1/4^2 +・・・)

=1/1^2 −1/2^2 +1/3^2 −1/4^2 +・・・=π^2 /12

を得ることができます.

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