■円周率の計算(その14)

 BBP公式について補足しておきたい.

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【1】BBP公式

 1996年にベイリー,ボールウェイン,プラウフにより,BBP公式が見いだされた.

  π=Σ1/16^n(4/(8n+1)−2/(8n+4)−1/(8n+5)−1/(8n+6))

 円周率πの計算(や巨大な素数の発見)はコンピュータシステムの信頼性や処理速度といった性能をテストするのに最適ということであるが,BBP公式は16進法に関係していて,BBP公式を使うと任意の位置にある数を非常に効率よく求めることができる.たとえば,πを2進数展開したとき1000兆桁目の数字は何か?

 n番目の桁をそれ以前のn−1番目の桁を計算することなしに直接計算できるのだが,求めるのは小数部分だけであるから整数部分はどんどんカットしながら計算していけばよいので,計算が簡単になるのである.

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【2】BBP型公式

[1]アダムチック,ワゴン(1997年)

  π=Σ(−1)^n/4^n(2/(4n+1)+2/(4n+2)+1/(4n+3))

[2]パーシバル,ベラード(1997年)

  π=1/2^6Σ(−1)^n/2^10n(2^5/(4n+1)−1/(4n+3)+2^8/(10n+1)−2^6/(10n+3)−2^2/(10n+5)−2^2/(10n+7)+1/(10n+9))

[3]π^2=9/8Σ1/64^n(16/(6n+1)+8/(6n+2)−2/(6n+4)−1/(6n+5))

[4]π^2=2/27Σ1/729^n(243/(12n+1)^2−405/(12n+2)−81/(12n+4)^2−27/(12n+5)^2−72/(12n+6)^2−9/(12n+7)^2−9/(12n+8)^2−5/(12n+10)^2+1/(12n+11)^2)

 10進法で使えるような公式はまだ発見されていない.

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