■デューラー・ケプラー・ペンローズ(その16)
黄金比は西洋人に愛される形,白銀比は東洋人に好まれる形といわれる.西洋的か東洋的かの対比でいえば,日本の直線,正多角形に対して,西洋の星形多角形や曲線,日本の格子に対して,西洋の非周期的配列なども和洋の対比の類であろう.
その優劣はさておき,発想やアプローチの仕方にはそれぞれ独創的なものがあるでしょうから,それらを比較してみるのも結構面白いかと思われます.
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【1】格子(周期的配列)
カゴメ格子は正三角形と正六角形が互いに隣接した周期的な格子で,竹細工の篭の結び目にみられることからその名前が由来しています.カゴメ格子は,日本人が最も愛好した文様のひとつですが,ちなみにカゴメは世界でも通用する呼び名とのことです.
賽形格子は六角格子(蜂の巣)を菱形で3等分,麻の葉格子はその菱形を長軸方向に2等分,すなわち,蜂の巣格子を二等辺三角形で6等分したものである.
三角格子と六角格子は互いに双対であるが,カゴメ格子の双対は賽形格子です.賽形格子は光と影の効果により,立方体が3次元的に積み上げられているようにみえる.
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【2】非周期的配列
イスラム世界ではタイル貼り芸術の極致が見られるとされる.モスクをはじめさまざまな建築物の装飾にタイル貼りが用いられているからである.全部で17種類あるとされる壁紙模様はすべてアルハンブラ宮殿で発見されている.1891年,ロシアの結晶学者フェドロフは平面のあらゆる周期的タイル貼りが17の対称群のいずれかに属することを証明しました.それでは,非周期的タイル貼りについては何がわかっているのでしょうか?
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