■2次元結晶群(その25)

【4】有限単純群の分類(モンスターの発見)

 マシューは5重可移性の置換群から,全部で5つの例外的な単純群M11,M12,M22,M23,M24をみつけた.ヴィットによるM24を構成するためのデザインを利用して,リーチは現在リーチ格子として知られる24次元におけるもっとも密度の高い配置を作った.リーチ格子では24次元球196560個の球と接触している.これが更なる単純群を生み出すことになった.

 コンウェイはリーチ格子に好奇心をそそられ,リーチ格子の第1近接196560点は3つのグループ(97152+1104+98304)の3つに分けられるが,あるグループの点を他のグループの点に移す対称性から合計12個(5つのマシュー群,3つのコンウェイ群+残り4で計7個の新しい単純群)を発見した.

 そして,美しい怪物は1973年イギリスのケンブリッジ大学で誕生し,コンウェイによりモンスターと命名・愛称された.モンスターを線形群の中に埋め込むとすると,最低でも196883次の行列GL(196883,R)が必要になる.すなわち,196883次元空間上の線形変換の集まりとして初めてモンスターを捉えることができる.

 モンスターの発見と構成は26個の散在型単純群の中でも特異な位置を占めていて,26個の散在群のうち,20個がモンスターの部分群として現れるのである.

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