■2次元結晶群(その16)
[1]2次元格子で異なる対称性をもつものは17種類存在する.この17種類の対称性は,2次元結晶群としてとらえることができる.
この問題は,ロシアのフェドロフとドイツのシェーンフリースによって,まったく別々に解かれた.証明は容易ではないが,ジョン・コンウェイ,ハイディ・バージール,チャイム・グッドマン=シュトラウス「物の対称性(The symmetries of Things)」にはその証明が示されている.また,この2008年に出版された本のなかで,コンウェイ博士は多面体変形操作の一つとしてChamferを定義し,切稜立方体はConway notation(cC)とよばれるようになっているようである.
なお,この17種類は対称変換すべてがスペイン,グラナダのアルハンブラ宮殿にあることはよく知られている.エッシャーはこのムーア人の城を2回にわたって訪問し,インスピレーションを得たという.
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[2]空間での等長変換は,平行移動,回転,並進回転,鏡映,すべり鏡映,回転鏡映,恒等変換の7種類であるから,3次元結晶群は219種類存在し,その多くが結晶構造として自然界にも存在している.(結晶をテーマとする物理の本には,たいてい3次元結晶群の数は230種類存在すると書かれてあるが,変換が向きを保たないものは異なるものと数えているからである.)
[3]4次元のフェドロフ結晶群は4783種類(4895種類)存在する.
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