■結晶と相転移(その42)

 1次元のマーデルング定数の場合は,正負の電荷が交互に等間隔で,一直線,上に並んだ系,すなわち,

  U=-e^2/R*2[1-1/2+1/3-1/4+・・・]=-e^2/R*2log2

である.

  1-1/2+1/3-1/4+・・・=log2=0.693147・・・

2次元・3次元とはちがって,解析的な解も得られる.

 とはいっても,この無限級数の収束は遅く,級数の収束を速める方法として,オイラー変換が知られている.

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【1】オイラー変換

 オイラー変換は交代級数に対して有効である.ベキ級数Σakz^kの第M項から先の部分を第L階差までで打ち切って,

  Σakz^k=ΣΔ^kaMx^M+k/(1−z)^k+1

を級数の和の近似とするのであるが,

  z=−1,M=10,L=3,ak=1/(k+1)

にとって,近似的に計算してみると,0.693144となって,誤差は2.48×10^ー6すぎない.

 もし,距離の近いものから足し合わせるという(馬鹿正直な)正攻法でもとの級数のまま和を計算していたら,この精度を得るのに,

  (2.48×10^ー6)^-1=4×10^5

項まで計算しなければならないのである.

 もし,

  z=−1,M=10,L=10,ak=1/(k+1)

とすると,0.693147を得ることができる.誤差はないに等しい.

 振動が激しく,一向に収束しない場合であっても,オイラー変換によって,収束は著しく速められていることがおわかり頂けたであろうか?

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