■結晶と相転移(その32)

 状態和は

  Z=Σexp(HΣσσ’)

の形であるが,

  σi=+1または−1

のとき,さらに

  exp(Hσσ’)=coshH+σσ’sinhH

の形にも書けるのであった.

 便宜のため,これを

  exp(Hσσ’)=const(exp(H~)+σσ’exp(−H~))

の形に猶したい.そのためには,

  exp(2H~)=cothH

  exp(2H)=cothH~

  const=((sinh2H)/2)^1/2

  Z=((sinh2H)/2)^s/2Σexp(exp(H~)+σσ’exp(−H~))  sはあらゆる作用線(i,j)の総数

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 もし,スピンが秩序から無秩序への崩壊型だ1点(キュリー点)で起こるとすれば,それは

  H=H~

のときである.

[1]四角格子    sinh(2H)=1,Hc=0.4407

[2]蜂の巣格子   cosh(2H)=2,Hc=0.6585

 三角格子と蜂の巣格子は互いに双対の関係にあり,Hc=0.6585を

  sinh(2H)sinh(2Hc)=1に代入すると

[3]三角格子    exp(4L)=3,Lc=0.2747

[4]カゴメ格子   exp(4K)=3+2√3,Kc=0.4643

 この値は,同じ価数の四角格子の場合の0.4407に近いが,少し大きい.

[5]賽形格子    Kc=0.4157

 価数は3と6であって,蜂の巣格子と三角格子の中間である.

[6]麻の葉格子   Kc=0.199

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