■結晶と相転移(その30)
コラム「格子上の確率論」は格子上のランダムウォークを通じて,相転移を調べるためのものであった.
自然界を観察するとしばしば相転移現象に出くわす.氷結・溶解・蒸発・結露・昇華などがその例であるが,相転移(phase transition)とは,あるシステムが(特定のパラメータが変化することで)ひとつの状態から別の状態に突然変化することをいう.超伝導化や磁化の過程でも起こるが,ここでは磁化の相転移(キュリー点)を取り上げる.
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結論を先にいうが,
[参]伏見康治「量子統計力学」共立出版
より,平面格子のキュリー点を抜粋すると,
四角格子 sinh(2L)=1,Lc=0.4407
三角格子 exp(4L)=3,Lc=0.2747
蜂の巣格子 cosh(2L)=2,Lc=0.6585
カゴメ格子 exp(4K)=3+2√3,Kc=0.4643
賽形格子 Kc=0.4157
麻の葉格子 Kc=0.199
賽形格子は蜂の巣格子を菱形で3等分,麻の葉格子はその菱形を長軸方向に2等分,すなわち,蜂の巣格子を二等辺三角形で6等分したものである.
四角格子,三角格子,蜂の巣格子の価数はそれぞれ4,6,3である.カゴメ格子の価数は4でるという点では四角格子と同じであるが,構造はまるで違い.また,三角格子と蜂の巣格子は互いに双対であるが,カゴメ格子の双対は賽形格子である.この格子では価数は2種類あり,一方は3価で他方は6価である.
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